From: hidero@po.iijnet.or.jp
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Subject: Vampire MIYU #16 (01/26)


佐々木@横浜市在住です。
こんばんわ。

# 今回は、詳細記事を書こうかどうしようか迷いました。
# 既に本編に関するスレッドが走って居るようですので。
# (現時点では目を通してませんが。)
# 一応、何かの足しになるかも知れないので投稿することにします。

# 今回の主役は実は冷羽かもしれない。
# ですので、冷羽の台詞は全部収録しました。

# 初めて覗いた方へ。死無から下はネタバレ空間です。

一言で言うならば、「ああっ。」です。
ちょっと、うるうる来てしまった。
でも、OVA系を求める方にはイマイチでしょうかねぇ。
なにせ美夕と冷羽揃って優しくなってたから。

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     (___  ooo  ooo  ___)

  (またまた、出番&台詞無し。)


    「1803年、常陸の国の浜に不思議な舟のようなものが流れ着いた。
     中には異国の女がたった一人で坐っていた。
     何処から来たのか、何者なのか判らないまま、
     漁師達は舟を再び沖へ流してしまった。
     村の年寄の話では、女は罪を犯したため、
     生死を天に任せる刑を受けたのだろうと言う。」

彼女が今日の神魔さんかと思ったら違いました。
流されちゃいました。
いわゆる「うつぼ舟」の伝承ですね。
# どなたか、うつぼ舟について記述がある文献ご存知無いですか?
# 私の手元の妖怪系の本には出てませんでした。

# 漁師さんたち、せめて食いもんぐらい載せてあげてください。

# エンディングクレジットで
# 異国の女(かない・みか)ってなってましたが、
# しゃべってませんよね?うつぼ舟の女?

    ガソリンスタンドのアルバイト員、真弓は店長から正社員に
    誘われるほど真面目で有能な娘だった。
    だが彼女は同居する彼のために、勤務時間が伸びる正社員には
    成れないというのだった。
    店長は残念がるが、彼女をかっているので
    それ以上の無理は言わなかった。

いい娘やなぁ。
これなら何処へ行ってもバイトで暮らして行けます。
実際、そうして居たんでしょうけどね。永い間。

    買物を済ませた真弓はアパートに戻ったが、
    そこで彼女を待っていたのは彼と美夕だった。
    美夕を真弓の友人と思った彼は気を使って外出した。
    「何時かは来ると思っていた。」
    「私を知っていたの?」
    「ぅん、...私だって神魔だもの。」

        [オープニング]

            [CM]

        第十六話 「うつぼ舟」

    真弓は美夕に彼、矢口の事を語って聞かせた。
    彼が小説家志望だった事、結婚を機に諦めた事、
    娘が生まれ、その娘が家出をして妻とうまく行かなくなり
    自分も家を出たことなどを。

    その頃、公園で暇をつぶしていた矢口に冷羽が語り掛けていた。
    「何が見えますの?」
    「うん。空の向こうの海かな。」
    「ずいぶんお暇なのですね。人間の大人はそれどころでは無いのでしょ。」
    「そうだね。皆余計なことを考える余裕もなく必死に働いている。
     僕もそうだった。でも、ある日気が付いたんだよ。
     このまま働いていても僕には何も残らない。
     だからこうしている。」
    「それは、我侭ではありませんか?」
    「そうだね。でも僕にはもう妻も娘も居ない。一人なんだ。」
    「お子様を捨てたのでしょ。
     父と子の絆はそう簡単に切れるものではございませんよ。」
    「いや、捨てられたのは僕の方だよ。」
    「私には信じられません。」
    「そういう物だろうね。」

なぜか冷羽は人間の方に接近します。
その口振りから彼についても良く見ているような。
そしてなぜか人間の娘の心情を語ります。
まるで自分の事に重ね合わせるように。
なぜ神魔である冷羽に人間の娘の心情が語れるのでしょうか?
それとも神魔にも親子関係が?
初めて冷羽自身の事情がほのめかされたように感じます。

    真弓の口からは矢口の事しか出てこなかった。
    なぜ、自分のことを話さないのかと聞く美夕に
    自分は神魔だから話さなくても全てわかるはずだと言い、
    美夕もそれには「ええ。」とだけ答えた。
    真弓は彼と暮らしていきたいと言ったが、
    人間と神魔が暮らすことはどちらにとっても破滅への道であると
    言い、彼の事を思うならばすべきことは知っているはずだと告げた。
    もう暫く待って欲しいと頼む真弓に、また来ると美夕は言い
    立ち去った。
    「私達、幸せにはなれないの?」
    「ええ、永遠にね。」

真弓の言った "私達" は、もちろん矢口と真弓ですが、
美夕の返事には美夕自身も入っているのでしょう。

    外で、矢口に挨拶をした直後、美夕は冷羽と再会する。
    もう会うことは無いと思っていたという美夕に、
    松風は敵同士なのだから、はぐれ神魔を狙うのは勝手だと言う。
    あの神魔は放って置いても滅ぶと言う美夕に、冷羽はならば自分が
    始末するという。
    「では、私が始末を付けてもよろしのですね。」
    「あの二人に手を出したら、あなたもこの世には居られ無くしてあげる。」
    「人間には構いは致しません。」
    「信じられないな。」
    「私にも理由があるのです。」
    「ち、ちょっと待ってよ、どういうことさ冷羽。」
    「判らないのですか? 松風には。」
    「仲間割れでもしたのかな。」
    「あんたには関係ないだろ!」
    「そうね、お互い関係なくしていたいね。」
    「今日は帰りましょ。でも、私はあの人たちを見ていますよ。
     そして美夕、あなたの事も。」
    冷羽は消えていき、美夕もその場を去っていった。

神魔ではなく、人間にこだわっている様に見える冷羽。
美夕が千里に対して見せる感覚(感情)とは異なっていますが、
重要なのは "あの冷羽の" こだわりって事ですかね。

    その夜、矢口は夢で見た自分達の未来を語って聞かせた。
    素敵だねと言う真弓に自分は逃げているだけだと言う矢口。
    逃げたっていいじゃないと言う真弓だった。
    自分には小説など書けないかも知れないと言う矢口を真弓は
    一所懸命に元気付けようとするのだった。

まとめはさらっとしましたが、それは
せつなくて上手くまとまらないから。(マジで)
そんなに、とてつもない夢じゃないのに、
初めから実現しないと思っているなんて、ちょっと許せん男ですがね。

# ここの場面の真弓がいいなぁ。(声の力かな。)

    翌日、再び小説を書きはじめた矢口の元を訪れる人影があった。

        [CM]

    矢口を訪ねたのは彼の妻だった。自分には既に何の興味も無いだろうと
    いう矢口に妻は離婚はしない、あなたには罪を償ってもらうと言った。
    そこへ真弓が帰ってきた。
    妻は彼女が夫を奪ったのだと言った。
    夫を返せと言う妻に真弓は彼はあなたの物ではないと言う。
    逆上した妻がつかみ掛かったが真弓に突き飛ばされ、
    打ち所が悪くそのまま息絶えた。
    取り繕うためここにいなかった事にしようと矢口に勧める真弓に
    矢口は一緒に逃げようと言う。
    躊躇する真弓だったが、
    君が居れば幸せだと言われ二人は逃避行へ出るのだった。
    真弓は自分の所為で矢口の未来を奪ったことを悔いたが、
    全てを壊すのは自分だと谷口は言った。

妻が死んでも動じない矢口。
そこまで肝が坐っているならもっと大きいことも出来るだろうと
思ったんですが、違うんですよねこの男。
単に在りのままに受け入れてしまうタイプのようです。
ただし彼女は失いたくない。

    そんな二人を乗せた列車には、冷羽と美夕の姿もあった。
    「とうとうやってしまいましたね。」
    「覚悟は出きてんだろうね。」
    「わかってる。」
    「罪は人間に着せられるのでしょうね。」
    「何の罪?」
    「人間の世界での罪です。人間が一人死んだ。
     その他に罪が有りますの?」
    「無いね。」
    「ですからっ!早くあの神魔を闇に返してしまえば良かったのです!」
    「おかしいな、冷羽が人間を気にするなんて。」
    「私も..そう思います。」

単なるこだわりを過ぎて、感情が噴出した冷羽。
何があったんでしょうか、冷羽の中で。
それに対する美夕の受答は、単に冷羽が嫌いだからではない、
何かを引きだそうとする意図の様なものを感じました。

    雪の降る海岸を歩いていく二人の前に美夕が立ちはだかる。
    その様子を冷羽は砂丘の上から見下ろしていた。
    「美夕は情けを掛けるつもりでしょうか。」
    「そうなるといいね。僕らの獲物が一人増えるよ。
     いや、二人かな。あの人間も抵抗するだろうからね。」
    「そんな気にはなれませんの。」
    「どうしてさ。」
    「あの神魔は、あの人間にとって娘なのかも。」
    「何言ってるんだ、この頃冷羽おかしいよ。嬉しくないのかい?
     どうして僕に判らないことを言うのさ。」
    「判らないのなら、黙ってらっしゃい!」」

ついに美夕が言いそうな事を冷羽が言いました。
何か今までの冷羽を作って居るものが、溶けてきたのかな。
言葉遣い以外は完全に同期していた冷羽と松風の関係に
変化が起こったのは間違いないですよね。

    封印しに来たと言う美夕。仕方がないと言う真弓。
    矢口は見逃してくれと言い、真弓が居なければだめなのだと懇願した。
    彼を諦めさせるため、彼の前で本性を現す真弓。
    その本当の姿は、神魔「亜癒」(あゆ)であった。
    だが矢口はまったく驚かなかった。
    彼女が以前から時々その本性を現しているのを見ていたのだ。
    そして美夕の姿も、知っていた。
    それゆえ冷羽すら不思議な物とは思っていなかった。
    ただ、有りのままに受け止めていたのだ。
    自分をわかってくれた真弓をわかっていたと言う矢口。
    彼の言葉で満足した真弓は、美夕に挑む。
    美夕はラヴァに手を出さないように言い彼女と対決した。
    真弓は美夕に勝つことは出来なかったが、満足して闇に返っていった。
    彼への別れの言葉と共に。
    彼女が去ったことを嘆き、自分も連れていって欲しいと矢口は言う。
    出来ないと答える美夕は矢口に永遠の夢を与える事にした。
    だがなぜか彼は赤子の姿になってしまった。

# コタツで居眠りしてる神魔 ...ぷりてぃ。*^^*
# ああ、今週もボケポイントが少ない。

    「これはあなたのお力ですの?」
    冷羽が美夕に尋ねた。
    黙って首を振り否定する美夕。
    「(そうなの、あなたは大人のままでは幸せになれないんだね。)」
    「罪を消すためですか。」
    「そうね、全ての罪を。この人にはその資格がある。」
    「お迎えが来たね。」
    流れついた盥に、赤子となった矢口を乗せる。
    美夕は赤子をあやすように笑いかけ、そして盥を送り出した。
    冷羽と美夕はそれを見送った。
    「どこへ行くのでしょう。」
    「西へ行くの。」
    「西へ?」
    「そこには幸せの土地があって、悩みも苦しみも無いんだって。
     そこへ行ける人は少ないって言うけど。」
    「私達は行くことも出来ないのですね。」
    「そう。永遠にね。」

西とは西方浄土もしくは黄泉の国の方角ですが。
彼は行けたんでしょうか。
どこかで真弓と一緒になれることを祈ります。

# タライがちょっと唐突だったけど。

最後の台詞の「行ける人は少ない」の "行ける" は成功するの意味ですが
冷羽の「行くことも出来ない」の "行く" は旅立つことすらできない、
つまり死ねないという意味でしょうね。

人の弱さ、人と神魔のどちらにもある悲しみ。
それらが過不足なく描かれた出来の良いエピソードだったと思います。
それに冷羽の描き方も。(方向性が変わってたところが。)

# 実際、今回の冷羽は絵にリキが入ってますな。
# 初めて冷羽がかわいいと思った。
# 真弓もなかなか好みですが、今週は冷羽にしとこう。(爆)


        [エンディング]

        [次回予告]

    街が崩れていく。
    まるで砂のように。
    それでも人はいつものように仕事へ出かける。
    そう、まるで当たり前の暮らしのように。
    誰が知っているだろう。
    もう一つの街が産まれようとしていることを。

    次回、吸血姫・美夕
    「夢幻の街」
    その街は、誰にも壊せない。

# 大仏様と戦うんじゃ無いだろうなぁ。
# ちょっちだけ、嫌な予感が。

では、また。

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■■■■■■ 佐々木 英朗 ■■■■■■■
■■■■ hidero@po.iijnet.or.jp ■■■■
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